by K
「私達だけは」
話題の映画を観たい人がいる。 耳が聞こえない、聞こえづらい人がいる。
どうすれば見られるかなあと、私達、要約筆記者は考える。
字幕があれば大丈夫だ。
だけど、聞こえない人は映画なんて観ないんだろうと考える人が多いのかもしれない。
自分の近くに聞こえない、聞こえづらい人がいなければ、実感が持てないだけかもしれない。 邦画に字幕!? 
もしも何かに困っている人がいたら、お手伝いできることはないだろうかと考えたい。
昨今のテクノロジーの進歩は著しく、スマートグラスなるものをかけると、映画の字幕がメガネで読めるらしい。
他のお客さんと同じように、好きな席を選んで、楽しめる。
申し出ると、借りられる映画館もあるらしい。 すばらしい、拍手!
利用した方に、話を聞いた。 受付で、一式を借受け、説明があるらしい。
「聞こえないから借りるんだけど、説明が聞こえなくて・・・」
せめて私達、要約筆記者だけは、その不都合に気づいて動きたい。
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「あなたはどちらを?」
長く、ひどく暑かった夏もやっとひと段落。
お昼が近い、何を食べようか。とはいえ家にいて、「うどんか?ラーメンか?」といったニッチな選択。
よそのお宅はいったい何を食べておられるのかしら。それは胸にしまって声をかけた。
答えは、1つには定まらなかった。 うどん2、ラーメン1。
よござんす、それくらいのわがまま!?は認める。母は太っ腹だ。
朝作ったおにぎらずが、残っている。できは良いとはいえないが、時間はかかった。
これから作るラーメンやうどんには、具を入れなくてもいいだろう。 トッピングは、ネギとした。
麺類を家族で食べるとき、一斉にできあがって、いただきますをするのが理想。だが、うどんとラーメン。
いかに時差を減らすか、考えた。 丼を並べた。お気に入りの、和風の丼を3つ。
うどんだって、ラーメンだって、おいしそうに見えるはず。お湯もポットにたくさん100度にした。
ラーメンはかの名高い、出前一丁。 うどんはカトキチの冷凍麺。問題ない。
一気に仕上げを目指すため、丼にラーメンのスープ、うどんの粉末だしを入れた。
いざ、スタート。
うどん1つ、できた。この調子で、ガンガンいくぞ。
次のうどんをゆでた、いいぞ、丼へ。
あ! 丼を間違えた。  そこには、出前一丁のスープ。既に遅く、ドロップイン。
ラーメンを希望した娘に聞いた。 「出前一丁味のうどんでいい?」
選択の余地は残した。 「それとも、うどんだしのラーメンがいい?」
ラーメンの口だったらしい。 出前一丁のスープに、うどんが浮かんでいる。
あと1つのうどんだしのラーメンを、私は食べた。
なんのことはない、ただのラーメンだったように思う。
娘にも聞いた。 「どう?」 
「別に大丈夫」  いい娘に育った。
その後、私は、なんだかとてもまずいラーメンだった気もしたが、お気に入りの丼の中に麺は残っていなかった。