読書の広場


「親しき仲に垣をせよ

親しい間柄でも遠慮がなくなると不仲のもとになるので、
節度を守れという戒めの言葉。
「同じような意味の言葉:親しき中にも礼儀あり」




 私のおすすめの本 




 読書好きな仲間から本の紹介コーナーです

「アルプス席の母」

早見 和真  著  小学館




秋山菜々子は、夫を亡くし、看護師をしながら一人息子の航太郎と2人で暮らしていた。

そして、航太郎が、甲子園をめざして大阪の高校へ入学するのを機に、自分も神奈川から大阪へ越していった。

この話は、大阪での3年間が、描かれている。

野球部での父母の会、航太郎の肘の手術、回復しても、なかなか試合に出してもらえない日々。

そんななかで、学年が上がるごとに、心身共に成長していく子どもの姿。

そして、3年生の夏、やっと、あこがれの甲子園へ。

父母の会であったり、子どもが打席にたったり、子どものところにボールがいくと、ハラハラしたりとか、 共感できるところもたくさんあり、子を思う親の気持ちは、みんな一緒だなと思った。






「お台場アイランドベイビー」
横溝正史ミステリ大賞受賞作 ※デビュー作品

伊与原 新いよはら しん  角川文庫




あらすじ
東京湾直下型の大地震により壊滅的な被害を受けた日本。震災から4年後のお台場を舞台に元刑事と黒人少年を中心におこるサスペンス(問題提起は多かったが、 サスペンスは少し薄めのような)。
消える子供たちの謎、経済も治安も崩壊し、年は歯抜けの様に復興が進まない様が描かれる。

社会問題への視点
国籍や戸籍を持たない無国籍児の問題や、外国人労働者の不法就労、災害対応の遅れなど、現代日本にもつながる社会課題も提起している。

登場人物
・巽丑寅(たつみ うしとら)
無骨で関西弁の元刑事。家族を亡くした後悔と責任感を抱えながら、丈太や無力な子どもたちを守ろうとする姿が読者の共感を誘う。
・丈太(じょうた)
動物好きで純真な少年。出生に深い謎があり、物語全体で重要な役割を果たしている。
・その他の登場人物
巽を支える元上司・鴻池みどり刑事、地震研究に携わる和達徹郎博士、中国語に堪能な大学生・久野隆文など多彩である。

作者紹介
1972年大阪生まれ。東京大学大学院理学系研究地球惑星科学専攻博士課程修了。大学勤務の傍ら2008年より小説執筆を開始する。

代表作品
『月まで三キロ』
『八月の銀の雪』
『オオルリ流星群』
★『宙わたる教室』: 2023年刊。定時制高校を舞台に、年齢や背景の異なる生徒たちが「科学部」を結成し、 火星クレーター再現実験に挑む青春科学小説第70回青少年読書感想文全国コンクール(高等学校の部)に選出され、NHKでドラマ化される。
『藍を継ぐ海』

読後感想
近未来の東京湾、もし直下型の大地震がおきたら東京は日本はどうなるのだろう。
本ではお台場だけが孤立させられ、立ち入ることが許されない。
マングースがいるとはしゃいでいた少年と元刑事との関りから話が始まる。
どんなことが待っているのだろうとわくわくしていたが、最初の100ページまでにはずいぶんと時間がかってしまった。
一体作者はどこに読者を導いているのだろう?
社会問題を読者にも教えてくれ、近未来が舞台だがそれは今にも通じている。
大阪弁の元刑事巽の豪快さと熱さが結末でのスピード感ある迫力を加速させ無事完結かとおもいきや、最後、えっという巽の退場の仕方…  えええ…そんなぁと声が漏れた。
ただ少年丈太はきっと未来を切り開いていけるだろうと思わせてくれた。
無国籍問題、外国人労働者問題のこと、これから気にかけていくなと思います。 






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