読書の広場


「気が利きすぎて間が抜ける

気を使いすぎたり、考えすぎたりして
本当に大事なことを忘れてしまったり
見落としてしまうことがあるということ。
身近な生活の中で、よくありますよね。




 私のおすすめの本 




 読書好きな仲間から本の紹介コーナーです

「月まで3キロ」

伊予原 新いよはら しん 著  新潮文庫




月までどうやったら3キロになるんだ? そこが知りたくて手に取る。

死に場所を求めた男は夜遅く富士の樹海を目指しタクシーに乗る。

タクシー運転手は切り上げようと思っていたところを捕まった感じ。

樹海なんかをめざしていては戻ってくるのも大変なのだ。それに今夜は行くと決めている場所があるし。

タクシーに乗った男は身の上話をし始める。

運転手は元中高一貫進学校の理科教師。彼は男に「月に一番近いところに行かないか」と誘い、月のことを話し出す。

大昔月は裏表とも見せていた。今より早く自転していたからあらゆる面を地球に見せていたと。

今の月が同じ面を地球に向けているのは月の自転周期が公転周期と一致しているから。

月は27.3日で地球のまわりを一周する。同じく月自身も27.3日で一回転する。

月は1年に3.8センチずつ地球から遠ざかっている。今の月までの距離は38万キロ。

彼の息子は一貫校の中学試験に失敗し次の高校受験に励むと3年間頑張ったが受験日の朝マンションから飛び降り自殺をしてしまう。

照らされた道路標識に「月3キロ」が浮かび上がる。

静岡県道360号線。静岡県浜松市天竜区。

満月の夜運転手はここにやってきていた。

短編集・7編。科学的要素があり読んでいて興味をわかせてくれる。

登場する人々は普通の暮らしの中でかかえている困難さを乗り越えていく。

作者のあたたかさを感じ、さて私も頑張らんとなあと思うのでした。






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