9歳の夏、わたしは、友だちと木に腰かけておしゃべりをしていた。
お兄ちゃんが大好きな友だちは、わたしも好きだと話すと、わたしをつきとばした。
そして、わたしは死んでしまった。
ここからこの話は始まり、死んだわたしの語りで展開していく。
死体がみつからないように兄妹が、右往左往するところは、とてもリアルで、何とも言えなかった。
また、最後の落ちが、えっとなり、ぞくっとした。
この作品は、著者が16歳のときのものだという。
実は、10年以上前に一度読んでいたが、久しぶりに読んでも、ひきつけるものがあり、すごいなと思った。
また著者は、いくつかのペンネームでも小説を書いている。
そのなかに中田永一という名前で書いた「くちびるに歌を」という小説がある。
これは、離島の中学校の合唱部の話で、心温まるお話だった。