次回作が書けない作家の五森つばめが、理髪店をしていて亡くなった祖父の話を1冊の本に書きあげるまでの話である。
祖父の正一は、幼い頃、病気の後遺症で聴力を失う。
そして、徳島県立盲ろうあ学校の理髪科、第1期卒業生となり、理髪店を開業する。
その後、ろう者の女性と結婚し、2人の子どもを授かる。
だが、ろう者ということだけで、たびたび理不尽に傷つけられ、苦労していた。
そんななか、ヘレンケラーの講演会に行き、勇気づけられ、未来へとつなぐための努力を惜しまなかった。
祖母、父、叔母、そして祖父を支えた人たちの話を聞き、つばめの小説が出来上がっていく。
正一は昭和13年に学校を卒業するのだが、このころの障害者に対する差別がとてもひどく、並大抵の苦労ではなかっただろうなと思った。
また、ヘレンケラーの「初めは難しいことも、続けていけば必ずできるようになる。たとえ今、あなたが成し遂げられなくても、別の人がつないでくれることを信じてほしい」という言葉が印象的だった。